時計の針が”あの頃”に巻き戻ったのか?
かつてグランドスラムの決勝舞台で世界を熱狂させたフェデラーVSナダル戦。
全豪オープン2017男子シングルス決勝が29日に行われ、ロジャー・フェデラーが宿敵ラファエル・ナダルとの、3時間37分におよぶフルセットマッチを制して、全豪オープンでは7年ぶり5度目の優勝(18度目の四大大会優勝)を飾りました。
テニス史に永遠に語り継がれるであろう伝説の一戦を、余すところなくハイライトします。
※文末にハイライト試合動画あり
2人共に故障からのカムバック戦

2016年10月のラファエル・ナダルアカデミー開校式典にはフェデラーが招待された。「昨年、ラファのアカデミーを尋ねたとき、まさか僕らが今、ここに立つことになるなんて想像もしていなかった」-フェデラー
フェデラー第17シード、ナダル第9シードで出場
35歳となったフェデラーは第17シードで出場。昨年、左ひざを故障し、全豪が半年ぶりの復帰戦。体力への影響が心配されたものの、4回戦で錦織圭、準決勝ではスタン・ワウリンカにフルセットにもつれながらも勝ち切っての決勝進出です。
一方、現在30歳のナダルは第9シード。2016シーズンは、利き腕の左手首のけがで調子を落とし、第9シードでの出場。今大会は強烈なスピンのフォアと持ち前の守備力が戻り、A・ズベレフ、モンフィス、ラオニッチ、ディミトロフとフェデラーに比べて厳しいドローを勝ち上がり、3年ぶり4度目の決勝進出です。
過去の対戦成績は、ナダルが23勝11敗でフェデラーを圧倒
試合前の両者の過去の対戦成績は、ナダルから23勝11敗。グランドスラムでは9勝2敗、決勝での対戦は6勝2敗で、いずれもナダルが大幅にリードしています。全豪の決勝舞台では2009年に対戦しており、ナダルが7-5 3-6 7-6(3) 3-6 6-2で勝っています。
試合前のコメント

男子テニス界の象徴とも言える2人。熾烈なライバル関係と友情が成立する史上類を見ないスペシャルな関係。
史上まれに見る”美しきライバル関係”は未だ健在
プレースタイルもキャラクターも対極的な2人ですが、常にお互いを尊重しあい、スポーツマンシップ溢れる素晴らしい試合を繰り広げ、”美しきライバル関係“と称されてきました。
「僕らにとって、すごく特別なことだ」-フェデラー
「ラファのプレースタイルが大好きで、プレーを見るのも大好き。彼にも辛い時期があったけど、今こういう状況になって嬉しい。僕も彼の世界一のファン。彼も僕の世界一のファン。決勝で戦えたら、本当に素晴らしいこと」-フェデラー
「ロジャーとこの大舞台で戦うのは名誉。これ以上、幸せなことはない。よい友人であり、最高の人。尊敬している」-ナダル
[kanren postid=”3336″] [kanren postid=”3526″]第1セット
6―4でフェデラーが先制
ナダルのサービスで始まった第1セットは、第7ゲームをブレークしたフェデラーが奪って先行。
ブランク明けとはとても思えないフェデラーの充実した強さを改めて感じる内容だった。
このままフェデラーのワンサイドゲームで終わるのか…
第2セット
3―6でナダルが取り返す
第2セットはナダルがラリーで主導権を握る。第2、4ゲームと連続ブレーク。
すぐさまフェデラーにブレークを返されたが、冷静な試合運びで流れを変えさせず第9ゲームをキープして第2セットを奪い返した。ナダルが4ゲーム連続で奪いセットカウント1-1へ。
ナダル強い!このまま試合がもつれれば、5歳若いナダルが体力面で有利か。
第3セット
6―1でフェデラーが圧倒
第1ゲームで3度のブレークポイントをしのいだフェデラー。
第3セット、フェデラーのサービスが冴え渡る。サービスでナダルを完全に圧倒するとナダルのペースが崩れミスを連発。第2ゲームでブレークに成功、第6ゲームもブレークして、このセットをものにした。
6-1とフェデラーのワンサイドゲームに。このままフェデラーが振り切るのか…「ナダル頑張れ!」世界中のファンがこの戦いをいつまでも観ていたいと思ったはず。
第4セット
ナダルが粘り3―6で奪取
第4セットはセットカウント1-2とフェデラーに王手をかけられたナダルが盛り返し奮闘。
サービスゲームで何度も迎えたピンチを迎えるもの、驚異の粘りで第4セットを奪い、ナダルから4-6 6-3 1-6 6-3で最終セットに突入。
両者の戦いは死闘ファイナルセットへ。黄金カードと呼ばれる試合に最高に相応しい展開に会場のボルテージも最高潮に。
ファイナルセット
フェデラーが6―3で振り切る
優勝をかけた最終セットは、第1ゲームをナダルがブレーク。第5ゲームまでナダル優位で進んだが、第6ゲームの競り合いでついにフェデラーがブレークし3-3に。
続く第7ゲームをラブゲームでキープすると、第8ゲームもフェデラーがラリー戦を制してブレーク。
伝説の26回ラリー
肉体、精神ともに限界を超えている中、両者は息をすることさえ忘れさせるような26回にも渡る素晴らしいラリーを繰り広げた。

「もし最後のサービスをキープ出来ていたら…どうなったか分からなかった。あと2ゲームだった。彼は試合を通してスーパー・アグレッシブだった」-ナダル
第9ゲームでは0-30と先行されるもエースでつかんだチャンスを逃さず、最後はライン上へフォアハンドウィナーを決めた。試合時間は3時間38分。
試合後のコメント
“ロジャーの方が僕より一枚上だった”
「5時間試合のリカバーは難しい。その点では問題はなかったけど、いつもよりは少し足が動かなかったように思う。何より、ロジャーが最後まで超アグレッシブで、なかなか思うようなプレーをさせてもらえなかった。僕も良いプレーはした。最後まで闘志を失わずにやれたと思う」-ナダル
「また、この会場に戻ってきたいと思う。準優勝トロフィーも素晴らしいけど、是非あっち(優勝トロフィー)を手にしたいと思う。ロジャーの方が僕より一枚上だった。またトップに返り咲きたい。今後も努力を続ける」-ナダル
“ラファは確実に自分のテニス人生で特別な存在”
「ラファに勝てたことよりも、全豪の舞台でカムバックできたことがうれしい。かつてのコーチのピーター・カーター、トニー・ローチ(オーストラリア出身)にはいつも感謝しているからね。今日は、相手よりも自分のテニスに集中しようという姿勢だった。
最後まで、勝てると思ってプレーすることができた。コートで『来年また会いましょう』と言ったのは、まだまだ自分の中にテニスの可能性が見えているから。来年、また来たい。それが今の夢だ」-フェデラー
「2人とも、この大会の決勝で対戦できるとは思っていなかったと思う。4・5カ月前には想像できない状況だった」-フェデラー
「ラファとまた壮絶な試合が出来たことが大切。5年近くグランドスラムの優勝がなく、この年齢になってもここで多くの応援をもらえた。それが出来たことに大きな意味を感じている。」-フェデラー
「お互い怪我から復帰している。だからどちらが勝ってもそれは素晴らしことだったはず。でもテニスに引き分けはなく、時にはこれが酷なことだとも感じる」-フェデラー
「ノヴァーク(ジョコビッチ)もロディックやヒューイットもそうだった。でも、ラファ(ナダル)は確実に自分のテニス人生で特別な存在。彼がいたから自分はここまでの選手になれた。いつも言ってるようにね」-フェデラー
試合を振り返って

優勝したフェデラーは優勝賞金 約3億2000万円と2000ポイントを獲得し、世界ランクを7つ上げ10位に返り咲く。一方、ナダルは世界6位に。
フェデラーは進化した、ナダルは執念で復活した
今大会を通じて、フェデラーとナダルは見事にカムバックを果たしたと言えます。しかし、双方の勝ち上がり方や試合内容を見ていると両者には大きな違いがあります。
フェデラーは全盛期と比べても明らかに進化た新しいテニスをしています。かつてナダル相手に苦戦を強いられたバックハンドの弱点は見事に克服され、それどころかバックで強烈なウイナーを量産。そしい、展開の早いスピードテニスと抜群のサービスからの見事な組み立てが光ってます。
一方のナダルは昨今の展開の早いテニスに対応できてはいたものの、フットワーク、ストローク戦の支配力やパスの精度といった「往年のThe ナダル」は、絶頂期のそれとは異なりますが、闘志、執念、ここ一番での集中力は、クレーキングのナダルそのものでした。
恐らくグランドスラム決勝で観れるのは最後
恐らくグランドスラムの決勝の舞台で2人が相まみえる事はもう無いでしょう。今年の全豪オープンは、ジョコビッチとマレーが格下に敗退するなど、あらゆる条件の神懸かり的な配合により、生まれた奇跡の試合だったと思います。
長年テニス界に貢献したフェデラーとナダル、そしてファンに与えられたテニスの神様からの最高のギフトだったのかもしれません。
※下部にハイライト試合動画あり
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