ジョコビッチの「強さの秘密」を心技体・戦略の観点から解説【総合編】

王者ノバク・ジョコビッチ強さの秘密に迫ります。

ジョコビッチが何故こんなにも強いのか?ジョコビッチは他の選手に比べてどこが凄いのか?

傍目にはなかなか分かりにくいでしょう。フェデラーやナダルに比べて、そのプレーには分かりやすい特徴や強みが見え難いからです。

ジョコビッチの圧倒的なツアー支配力の秘訣は「心・技・体」揃ったアスリートとしての完成度の高さと、それらを最大限に活かす緻密な「戦略」です。この記事を読めば、その強さの理由が理解できるでしょう。

 

データで見るジョコビッチの強さ

Novak Djokovic ノバクジョコビッチ (1)

”驚異の支配率95%”2015年はフェデラーのキャリアハイと同等

例えば、史上最高と名高いロジャー・フェデラーのキャリアピークの2006年は、GS3勝、全仏のみ準優勝、マスターズ1000で4勝、準優勝2回、2R負け一回、ツアー支配率は95%でした。2015年の一強時代のATPツアーの成績は史上最高と称されるフェデラーのキャリアハイイヤーと比べても、遜色無い成績を残しています。

超ハイレベルな2019年にグランドスラム2勝

2018年に怪我以降の不調からの復活を遂げたジョコビッチ。そこからの快進撃は圧倒的です。特に、ウィンブルドン2019の決勝では、ライバルのフェデラーをフルセットの死闘の末、破って2連覇を果たしました。ナダル、フェデラーも好調を維持する2019年男子ツアーで、しっかりと安定した成績を残しています。

 

強さの秘密1. 【心】メンタル/精神力

テニスはメンタルの強さが勝負を決める運動学的にも超過酷な球技

テニスは精神力の強さが問われるメンタルスポーツです。ゲームの中で瞬間的に判断し、行動に移す作業を時には5時間近く繰りかえす過酷なスポーツです。そんな中、現在のジョコビッチのメンタルの強さは世界一と言えます。どんなに調子が悪くても、長い試合になっても確実に競り勝ち、どんどんギアを上げていきます。この点は他のトッププロには無い強さでしょう。フェデラー、ナダル、マレーなどでも割とあっさり負けてしまうことがあります。これま 驚異的な精神力で苦境を打開してきました。

壮絶な生い立ちが圧倒的なプロ意識とハングリー精神を育んだ

ジョコビッチのメンタルの強さは、幼少の頃に母国セルビアで体験したコソボ紛争、その紛争の中戦地でプロになる事を目指して日々練習を重ねた事、経済が困窮した家族の未来の生活をプロで活躍するジョコビッチ託された責任感、国際舞台で活躍してセルビア人の汚名を返上しようと願うアイデンティティーなどにあげられます。

10歳の頃より、職業としてテニスで食べていくことを決意し、それからはどれだけ最短でプロになれるかを常に考えて、サバイブして来たと本人も語っています。正に、ハングリー精神の賜物です。また、2014年に妻エレーナ・リスティッチと結婚し、第一子ステファン君が生まれてからは精神面の安定感や充実感が増し、その強さに拍車がかかりました。

 

強さの秘密2.【技】テクニック/技術力

高い守備力と多彩なテクニックで相手を追い詰める

2010年頃までは守備的なプレーが多く、ラリーを繋いで相手のミスを誘うプレーが主体でしたが、現在は多彩なテクニックでゲームを支配しています。フェデラーやナダルに比べて、プレースタイルが地味なジョコビッチは、一見すると何処が技術的に優れているのか分かりにくいです。

しかし、派手さは無いものの、ジョコビッチのテクニックは他のトップ選手を凌駕しているから世界No.1に君臨しているのです。

針の穴を通すような、世界一のボールコントロール能力

ジョコビッチの最大の強みは卓越したボールコントロール力(プレースメント)です。アグレッシブベースライナーなので後方からストローク主体でゲームを組み立てるので、常に相手に攻めこまれないようにベースラインやサイドラインの際々にボールをコントロールし続けます。

この高度なパフォーマンスは4大大会の最大5セットマッチにも及ぶ決勝でも、衰えません。簡単なようですが、実際に他のトップ選手でもラリーの最中にミスショットで返球が甘くなり、ジョコビッチの水準でボールキープを続けることは不可能です。

 

その他には、スキーで鍛えたバネを活かしたコートカバーリング、セカンドサーブでありながら相手に攻め込ませない超キックサーブ、そして世界最高と称されるフォアハンドど同じクオリティの両手バックハンドなどの技術が優れています。左右同じ精度と強さでショットを打つ事ができ、サーブも強く正確で、実質プレーに穴がありません。

 

強さの秘密3. 【体】フィジカル/身体能力

ジョコビッチ_Djokovic_柔軟性

男子シングルスはスタミナと故障の少なさが命

年間を通じて、休む間もなくツアーで世界各地を転戦するテニスは、怪我で故障して離脱してしまうと、あっと言う間にランキングが下がってしまいます。また、4大大会は最低3セット、最大5セットマッチのかなりの過酷な大会で、世界最高峰の選手相手に勝ち続けなければいけません。そんな中、ジョコビッチはかつて途中棄権が多い選手でしたが、グルテンフリーの食事生活により、体質改善に成功し現在はフィジカルも強い選手です。

決勝で勝ち切るスタミナと柔軟なボディバランス

そのジョコビッチの特筆すべき身体能力的な凄さは、持久力とボディバランスです。毎回、必ずと言って良い確率で決勝まで進出するジョコビッチのスタミナは、フェデラーやナダルと同じく世界最高峰です。日本の錦織圭はこの点はまだまだでしょう。

そして、天性の柔軟な関節とスキーで鍛えたバランス感覚で、どんな不利な体勢からも身体の軸をぶらす事無く、安定したショットを打つ事ができます。その柔軟なボディーバランスは、一見無理して打って怪我しかねないようなショットでも、怪我を防いでいます。

 

ジョコビッチはまるでゴム人間だ。信じられないくらい身体が柔らかい。あれは遺伝子的なものと柔軟性に対する彼の努力の結果だろう。かつてのJ・コナーズ(アメリカ)も素晴らしい上半身の柔軟性を保持していたよ」-S・スミス氏(2019年)

 

強さの秘密4. ストラテジー/戦略

勝つためには心技体に加えて戦略が重要

試合で勝つためには戦略が大切です。テニスは心技体に加えて、ゲームを攻略する戦略も非常に重要なスポーツです。メンタル、テクニック、フィジカルの強さがあってこそ、はじめて戦略が成立します。また、ジョコビッチはテニスIQが高いことでも知られています。

攻守一体のカウンター主体だが、攻めも守りも自由自在

では、ジョコビッチの試合戦略はどのようなものでしょうか?ジョコビッチの基本的戦略はコートを広く使っての攻守一体のカウンター主体のテニスです。フォアハンド、バックハンド、ファーストサーブ、セカンドサーブに一切の技術弱点が無い事、際どいラリーをミスすることなく続けることが出来る強靭なスタミナと精神力。これらを武器に、この攻守一体のカウンター戦略は抜群の効果を上げています。

後方からでもゲームを組み立てコントロールできるので、自らリスクを追って仕掛けてミスショットを打たされることが少ないです。一方の相手は、どんなウィナー級のショットも抜群のカバーリング力で無力化され、その鉄壁の守備力にプレッシャーを感じ、ミスを連発します。また、チャンスとあれば、自ら強力なフォアやバックで攻めてポイントを取ることもできます。

このように、戦略と心技体の全てが、完全にマッチしているからこそ、現在の最強ジョコビッチが生まれたのです。また、前ヘッドコーチの往年の名選手ボリス・ベッカーの存在も大きいです。

 

ジョコビッチの強さは”歴代最強”まで届くか

ジョコビッチは本当に強いです。2019年7月時点でグランドスラムのタイトル数は合計16です。これは優勝20回のフェデラー、18回のナダルに肉薄する歴代3位。また、全てのマスターズ1000大会を制覇する”ゴールデンマスターズ”も唯一達成しています。

今後の四大大会での優勝数と次回の東京オリンピックの成績次第では、後世のジョコビッチの評価が決まるのではないでしょうか?

 

⇩ジョコビッチがフェデラーやナダルに後塵を拝する第二集団の1選手から、世界TOPへ大躍進を遂げた経緯が記されています。

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