負け犬アンディ・マレーが世界1位になれた理由。執念と努力の天才。

マレー_世界1位になれた理由

歴代最強の呼声が高い3名 フェデラー、ジョコビッチ、ナダル

男子テニス界に燦然と輝く3つの巨星は長い間、四大大会、マスターズなどメジャータイトルを総ナメにし、世界1位の座を3人だけで回してきました。そんな中、アンディ・マレー(マリー)はこれまで四大大会決勝でフェデラーに5回、ジョコビッチに5回ずつ敗れており、BIG4と呼ばれながらも、事実上偉大なるBIG3に次ぐ4番手。それが約10年にも渡ってマレーの定位置でした。

 

正直に打ち明けるけど、あの頃は自分自身を”負け犬”としか思えなかった。世界のベストプレイヤーの一人だと言うのに、そこには敗北感しか無かった。当然ながら、そんなものは受け入れるのは簡単では無かったよ。それまで、英国ではずっと一番だったわけだから。」-マレー

 

イギリス国民の期待を一身に背負いながら、3名の王者達に挑むスコットランドの英雄は、非難や失望、時には辛辣な言葉を浴びせられながらも、上位陣に食らいついてきました。そして、その間マレーは少しずつ着実に成長を続け、2015年後半から急激に力を伸ばし、遂には2年4ヶ月ぶりの王座交代を果たしました。

その裏にはいくつかの鍵があります。今回はイギリスの英雄マレーが負け犬から世界1位へ飛躍した理由に迫ります。

 

1.セカンドサーブの強化

最速220km/hを超すファーストサーブの一方、セカンドサーブが回転過多になりがちで、叩かれるシーンが目立っていた。16年よりグリップを変えてサーブを改良。

長年弱点の一つだったセカンドサーブの安定感と威力が増しました。その証拠にマレーのセカンドサーブのスピードは15年全豪と16年全豪の間に平均スピード136kmら150kmまで上昇しています。それに比例し、セカンドでのポイント獲得率も増えています。14年から一年ごとに51%、52%、54%と上がり続けています。

そして、サービスゲーム時の0-30から劣勢からゲームキープ率も15年の40%から16年は50%と格段にアップしています。

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2. 世界屈指のリターンに更に磨きがかかった

ベースラインの内側にステップ・インしてライジング気味に返すブロックリターンの名手。相手へプレッシャーをかけるのが非常にうまい。

元々、マレーのリターン技術は世界TOPクラスと評されていましたが、その武器に更に磨きをかけました。相手のブレークポイントを凌ぐ確立は64%から66%へ上昇。

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3. フィジカルの強化

アンディ・マレー

肉体維持のため、試合後1時間以内にプレーで失われた炭水化物とタンパク質の補給に寿司を食べているのだとか。

マレーは元々線の細い華奢な身体つきでした。10代(ジュニア時代、プロ転向後早期)はよく脚を痙攣させて試合を棄権する姿が良く見られました。そんなマレーは07年に練習拠点をイギリスから米国マイアミに移してから、肉体改造に取り組んで来ました。

1日の摂取カロリーを4000㌔から6000㌔へ増やし、毎日400mの80秒以内で駆け抜けるスプリントを10セット課すなどし、激しいトレーニングで摂取したものを消費。結果、無駄の無い筋肉だけが上積みされされ、本人が理想とする84kgの肉体を手に入れました。

 

あの頃はとにかく身体を大きくしたくて、毎日カロリーばかり気にしていた。今はこの体重(84kg)をキープするように心がけているよ。」-マレー

 

また、近年は激しい走り込みを減らして、ピラティスやジャイロトニックなど柔軟性にフォーカスコンディショニングにシフトしています。

 

4. イワン・レンドル コーチの復帰

2012年1月から2014年3月までコーチをつとめていたイワン・レンドルが、2016年6月よりマレーのコーチに再復帰し、再びタッグを組んだ。

チームマレーには、トレーナーのマット・リトルやコーチのジェイミー・デルガドらの優秀なスタッフが揃っていますが、中でも復帰したイワン・レンドルの存在は格別に大きいです。マレーの快進撃はレンドル再就任の16年6月から加速したと言えます。全豪、全仏とジョコビッチに敗れた16年前半戦は42勝/45試合がツアーの主役でしたが、後半戦は一転。マレーが50勝/53試合と驚異的な追い上げで、ジョコビッチに取って代わりました。

そもそもマレーが過去に手にしたタイトル(12年全米OP、ロンドン五輪、13年ウィンブルドンの優勝)は全てイワン・レンドルとのコンビによるものでした。しかし、14年にレンドルはマレーの元を去り、後任にアメリー・モレスモと契約します。彼女はマレーに苦手だってクレーコートでの初タイトル(BMWオープン)をもたらしたものの、グランドスラムの舞台では勝てませんでした。

 

レンドルはマレーと上手くつき合っており、しばしばコートで激高するマレーには取り合おうともせず、淡々と指導を続けます。精神的にもマレーを強くしました。

 

今のマレーは既にタイトルを手にしている。だから『それを繰り返すことができるのか?』と問われることになる。でも私は『それを完璧に達成できるのかい?』という課題に置き換えたい。」-イワン・レンドル(16年ウィンブルドン前)

 

そして、マレーはこのレジェンドコーチの問いかけに見事に答えました。16年ウィンブルドンでは、決勝まで1セットも失うことなく自身2度目の芝のタイトルをものにしました。

 

“負け犬”から世界1位へ

世界ランク1位をかけ挑んだBNPパリバ・マスターズ(パリ)ではジョコビッチが準々決勝で敗れ、マリーは準決勝で相手のラオニッチが棄権したため、悲願の世界ランク1位が確定した。決勝ではジョン・イズナーに6-3, 6-7(4), 6-4で勝利し、4大会連続優勝を果たした。

2016年はその不屈の精神と鍛錬の積み重ねが遂に実りをもたらしました。

パリ開催のBNPパリバ・マスターズで、ずっと背中を追い続けていたライバル、ジョコビッチから世界1位の座を奪い、その勢いのままATPワールド・ツアーファイナルではジョコビッチの5連覇を阻み初優勝を成し遂げました。

 

僕のキャリアは小さな一歩の積み重ねだ。自分を極限まで追い込んできた過程が、今の結果につながったと思っている。」-マレー

今後も世界1位の座を明け渡すつもりはない。」-マレー
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2017年は王者としての資格を問われる

マレーがテニス選手としての天賦の才を授かっていることは疑いようの無い事実です。

男子テニスの黄金期に、フェデラー、ナダル、ジョコビッチらエリート集団に食らいつき、何度も跳ね返されても歩みを止めること無く、直向きに努力し、彼等に挑み続けてこれた執念こそがマレーの最大の強さの秘密かもしれません。

2017年シーズンは勝ち取った世界ナンバーワンの座を死守できるかに注目が集まります。17年最初の四大大会では、第1シードの重圧からか格下に敗退しベスト16という不本意な結果に終わってしまいました。ここから立て直すのか、もしくはジョコビッチや復活したフェデラー、ナダル、または台頭する若い力にあっけなく明け渡してしまうのか…

王者マレーの真価が問われます。

その答えは、アンディ・マレー 2017シーズン 大会結果一覧でハッキリします。

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