錦織圭 届かなかった全豪OP優勝。フェデラー復権と新たな時代の幕開け【コラム】

全豪オープン2017_フェデラー

全豪オープン7日目、男子4回戦 錦織圭とR・フェデラーの試合が行われました。

結果は、フェデラーが6-7 (4-7), 6-4, 6-1, 4-6, 6-3のフルセットで錦織を退け、2012年のウィンブルドン以来、5年振りのグランドスラムタイトル獲得へ一つ駒を進めました。

錦織…勝って欲しかった….。

1. 過去最大の波乱の連続

全豪オープン2017_マレー

4回戦でM・ズベレフに負けてコートを去る今大会初の第1シードで臨んだマレー。シードを守りきれず…

2強牙城が崩れた 過去最高に波乱に富んだ全豪オープン2017。

元来、全豪は移動距離や気候条件などから、4大大会の中では最も番狂わせが多い大会です。今大会は第1シードのA・マレー、第2シードのN・ジョコビッチのBIG2が格下選手に敗退するという、ここ10年間のグランドスラムで類を見ない大波乱が巻き起こっています。特に両選手とも全豪の舞台には滅法強く、マレーは過去5度の決勝進出、ジョコビッチに至っては史上最多の6度の優勝を誇っていました。その2人を破ったのは熱心なテニスファンでなければ、なかなか知らない格下選手。

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2. 錦織圭の優勝の可能性は確かにあった

全豪オープン2017_錦織圭

錦織はフェデラーに7-6 (7-4), 4-6, 1-6, 6-4, 3-6のフルセットで敗れ、3年連続4度目のベスト8進出とはならなかった。「マレーも負けてチャンスはあったので、物足りない」とコメント。

錦織のGS初優勝は本当に現実的だった

今回の錦織圭のドローは相変わらず厳しいもので、順当に勝ち進めば4回戦でフェデラー、準々決勝でマレー、準決勝でS・ワウリンカ、決勝でジョコビッチという死の組と言えるドローでした。しかし、前述の通り、ジョコビッチが2回戦でD・イストミンに、マレーが4回戦でM・ズベレフに破れ、錦織のGS初優勝への扉は限りなく開かれていました。本当に手が届く距離だったのです。

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3. 元王者フェデラーの復活

全豪オープン2017_フェデラー

錦織はフェデラーのコントロール抜群のサーブと鋭いストロークを封じられず敗退。35歳にして今なお進化を続ける生ける伝説。

全盛期の輝きを取り戻したフェデラー

そんな中、挑んだフェデラーとの4回戦。怪我による長期離脱から復帰したばかりのフェデラーと、実力を増して最早BIG4と同格以上と見なされている錦織圭。35歳になるテニス界のレジェンドと、ポストBIG4の筆頭として世代交代を目論む錦織の一騎打ちは、世間的には日本の若武者の優勢かと思われていました。

しかし蓋を開けてみれば、フルセットで惜敗するもその数字以上にその差は大きいです。第1セットはタイブレークでものにしたものの、序盤2セットブレークから一気にセットを取りきれなかったのは痛かった。あそこで一気に畳み掛けて、フェデラーにリズムに乗らせないようにすべきでした。続く、第2セット、第3セットは全盛期並に覚醒したフェデラーのプレーになすがままの錦織。

しかし、このまま押し切られるかと誰もが思った第4セットで錦織の我慢が光りました。10分を超える第4ゲームで脅威の粘りでキープした後、セットを取りきってファイナルへ持ち込みました。フルセット勝率歴代1位の勝負強さと、リオ五輪のナダル戦で見せた粘りが日本にテニスファンの誰もの脳裏に浮かんだはず。対するフェデラーは故障開けで何より御年35歳の超ベテラン。錦織ならやってくれるはずだと。

しかし、最後の最後までフェデラーは強かった。そして最高に格好良かった。その輝きは最終セットになっても衰えることなく、特にサービスゲームは微塵の隙も無い圧倒的な強さを見せました。途中、錦織はメディカルタイムアウトを取り、臀部の故障の再発?も心配されましたが、結果的に明らかな実力差で負けました。

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4. 錦織が優勝できなかった理由

全豪オープン2017_ワウリンカ

過去3年で3つのグランドスラム(14.全豪、15.全仏、16.全米)のタイトルを獲得しているワウリンカ。4大大会決勝での勝率は脅威の100%。

ワウリンカ、チリッチにあって錦織に無いもの

実力的には錦織は世界のTOPであり、ジョコビッチ、マレー、フェデラーらにも引けを取りません。条件さえ揃えば、彼等に勝利しビッグトーナメントでの優勝も狙えます。しかし、未だGS・MSのタイトルはゼロ。今回の全豪で初タイトルかと期待されましたが、現実はベスト16。世界ランクは5位です。

しかし、総合的なテニスの技術やセンスでは錦織に劣るS・ワウリンカやM・チリッチは、Big4時代にグランドスラム、マスターズの両方の大会で優勝を収めています。彼等にあって、錦織に足りないのは、“大一番での爆発力”です。ワウリンカもチリッチも安定感にはかけますが、大一番での勝負では滅法強く、勝ち切る強さを持ち合わせています。圧倒的なBIG4の支配下で、千載一遇のチャンスを確実にモノにするメンタルがあります。

錦織に今必要なのは、今回の全豪のように優勝の可能性が高い試合で、100%以上の力で大舞台を勝ち切る強さなのです。

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5. 新時代のうねり

全豪オープン2017_ラオニッチ

2016年に一気に躍進したラオニッチ。全豪ベスト4、全英準優勝などを経て世界3位へ。BIG4を脅かす”うねり”の筆頭は錦織なのか、このラオニッチなのか。

世代交代の流れが加速。錦織は流れに乗りきれるか。

全豪オープン第7日目を終えて、世代交代を狙う若手有力選手は勝ち残っています。錦織と同世代のライバルである現世界3位のM・ラオニッチ(25歳)、G・ディミトロフ(25歳)、その一世代下のD・ティエム(23歳)やD・ゴフィンなど。そして、ナダルに破れはしたものの次世代の世界ナンバー1の呼声高いA・ズベレフ(19歳)も強い。中でも、ドローに恵まれたラオニッチは優勝の可能性だって大いにあります。

同世代の更なる躍進と下からの突き上げを受けて、錦織圭は今後どのようなポジションでTOPに居続けるかは注目です。マレーのように長い下積みを経て世界1位へ辿りつく選手もいれば、そこに辿りつけず長期に渡りTOP10選手の位置をキープするT・ベルディハのような選手もいます。

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6. ファン待望 夢の決勝戦の実現

全盛期を過ぎて今なおテニス界のアイコン的人気を誇るフェデラーとナダル。2人のライバル関係は、常に互いを尊敬し高めあってきた為、美しいと形容される。

世界中のファンが思い描く最高のシナリオは”美しき往年のライバルの戦い”

新たな力の台頭に期待する反面、誰もが期待して止まないのが、フェエラーVSナダルの決勝戦でしょう。ジョコビッチ、マレーが台頭する以前にテニス界を長きに渡って完全支配した史上最高のライバル同士の熱戦が、時代を超えてまた見れるかと思うとワクワクします。

2人が全豪の決勝戦で対戦したのは2009年大会で、ナダルがフェデラーを破って優勝しました。どちらかが、再びチャンピオンに返り咲くのはなんともドラマティックな展開です。フェデラーは18回目、ナダルは15回目の4大大会のタイトルです。

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7. さいごに

錦織の活躍を”当たり前”に思っている日本のファンは温かい目で。

今回の敗戦に「またか…」と肩を落とす日本のファンの方は多いはず。

それだけ、錦織圭の活躍が当たり前になっているのです。しかし、グランドスラムの大舞台で、史上最高の選手フェデラーと日本人選手が名勝負を演じていること、GS優勝の期待を胸に試合を観戦できることは本当は普通ではなく、極めてありがたいこと。

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日本のテニスファンはその現状に感謝しながら、温かく見守っていきましょう。ワウリンカだって4大大初優勝は29歳です。現世界1位のマレーもプロ7年目、5度目のGS決勝でようやく初優勝を果たしているのですから。

フェデラーのグランドスラム18回目の優勝を願って、このコラムを終えます。

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