錦織圭は「安定感」を得て「爆発力」を失った。GS・MS優勝に必要な事。【コラム】

nishikorikei20160404

安定感は増して強くなった一方で、影を潜める爆発力

2016年4月。錦織圭選手は全豪オープンベスト8、メンフィスオープン4連覇、マスターズマイアミ準優勝などの良い成績を残しており、現在は世界ランク6位です。年末のツアーファイナルズに向けたポイントレースランキングだと、ジョコビッチ、ラオニッチ、マレーに次いで4位につけています。大舞台では、より堅実で力強いプレーで、格下~同ランキングの選手には殆ど勝っています。

 

そんな中、これまで錦織圭選手の試合を観てきて感じることがあります。

 

「確かにトップ選手に相応しい安定感を得て確実に強くなっている。しかし、グランドスラムやマスターズで優勝争いするには決定的に爆発力が欠けているのでは…?」

 

錦織選手自身も先日のデビスカップのシングルスでマレーにフルセットで負けた後「爆発力が足りない」と語っていたのが印象的でした。

 

ジョコビッチを倒す事がメジャー大会優勝の条件

今や、「メジャー大会で優勝する=ノバク・ジョコビッチに勝つこと」が条件となっています。グランドスラムに限って言うと、10年間はBig4(ジョコビッチ、マレー、フェデラー、ナダル)+ワウリンカの5名がGS2勝以上をあげており、実質大会を支配しています。その中でも、2015年からジョコビッチが頭1つ以上どころか…頭3つほど飛び抜けて強いです。出場した大会では90%以上の確率で決勝に進み、80%以上は勝利しています。

そして、錦織選手のフィジカルとメンタルではジョコビッチのように年間を通じて無双状態をキープするテニスはできないでしょう。なので、ジョコビッチに勝つためには、当然ジョコビッチを目指してはいけません。

 

フェデラーが唯一ジョコビッチに対抗できる選手だが…

2015年を振り返ると、ジョコビッチに対抗しうる選手が2名いることがわかります。一人は全仏でジョコビッチを破ったワウリンカ。そして、もう一人は史上最高の選手フェデラーです。ATPツアーファイナルズのラウンドロビンでは得意のインドアで、ジョコビッチに鮮烈なストレート勝ちを見せました。(決勝では負けてしまいますが…)

錦織は確かにフェデラーに近いプレースタイルを持っており、フェデラーのような攻撃力で魅せるテニスで観客を沸かすことができる数少ない選手でしょう。しかし、錦織がフェデラーを目指すのは安易です。フェデラーのテニスは全てのプレーが高次元で且つ超攻撃的、超高速展開で相手を追い込む時間を奪うテニスです。格下の選手は本当に手も足も出ないまま瞬殺されます。

 

ただし、フェデラーがどんなに高速でたたみかけようとしても、ジョコビッチのストロークが非常に深く際どい角度に入るので、前に出たいフェデラーは足止めされ、結果無理に攻め急いで自滅する展開が多いです。また、フェデラーはバックハンドがパワー不足という弱点があり、ジョコビッチが得意なラリー戦では不利です。目が覚めるような素晴らしいウィナーも沢山ありますが、要所ではジョコビッチがポイントを重ねていきます。このように、ジョコビッチは相手の長所を無力化し、相手の弱点を確実についてゲームを展開していきます。

錦織選手が2016年のマスターズマイアミ決勝で見せたテニスは、堅実さに加えてフェデラーのような多彩でテクニックとアイデアに富んだ部分がありましたが、結果的に技術の差、経験値の差、そしてメンタルの差でストレート負けしています。美しい技と堅実なストロークプレーの応酬ではジョコビッチには勝てないのです。

なので、錦織選手はフェデラーを目指すべきでは無いと言えます。じゃあ、誰が参考になるのか?

 

ジョコビッチの倒し方は”大爆発男”ワウリンカに学べ!

そんな歴代最強とも呼声高いジョコビッチにどうやって勝利するのか?その答えはスイス第二の男スタン・ワウリンカが教えてくれました。ワウリンカは過去にグランドスラムでジョコビッチと大接戦を演じ、2015年の全仏オープンではジョコビッチを破って2度目のGS制覇を成し遂げています。

なぜ、ワウリンカがジョコビッチと相性が良く、GSの大舞台で勝利できるのか?それは、ワウリンカの超アグレッシブなオールランド型パワーテニスです。ワウリンカはフェデラーと同様にオールランダーですが、フェデラーには無いパワーがあります。強烈なビッグサーブ、左右から繰り出す強烈なストローク、そして信じられない角度・コースへ決める世界一のシングルバックハンドでウイナーを量産します。

 

そして、何より一度ハマったらもう止まらない。前回の全仏決勝で見せたような圧倒的な爆発力があります。一方の脆さもあり、早期敗退も多いですがそれは置いといて…

ワウリンカがジョコビッチに勝つ場合は、とにかく攻めて攻めてウイナーを量産します。言い換えると、ジョコビッチの勝ちパターンである、”長いストローク戦”を避けることができているのです。ジョコビッチの鉄壁ディフェンスを凌駕する程の攻撃力とパワーで、どんどんボールをしばいていく事に勝機があります。

 

この勝ち方をするには、グランドスラムやマスターズ1000といった大きな大会の準々決勝などで、強敵と対戦した時にプレーの質を上げ、ギアを上げていく実力が必要です。トップ選手で居続ける為に必要な能力なのは承知のことですが…

勿論、ジョコビッチは当然ながら、適材適所でギアを上げくるので、錦織選手が同じようにギアを上げているのでは話になりません。言わば、爆発的に自己のポテンシャルと能力を引き出して、スーパーゾーン状態でプレイを続けなければいけないのです。

それが高いレベルで体現できるのがワウリンカなのです。そして、錦織が大舞台で優勝するために目指すべきはこのワウリンカの大爆発力だと思います。

 

2014年の全米オープンで見せた錦織選手の爆発力

14年の全米での錦織は爆発していました。アニメで例えると、まさにスーパーサイヤ人そのもの。TOP10のラオニッチ、ワウリンカをフルセットで下し、準決勝では世界王者のジョコビッチを圧巻のテニスで圧倒しました。その爆発力は残念ながら、決勝までは持たず格下のチリッチに負けて準優勝となりましたが…。

あの時の攻めて、攻めて、攻めまくる攻撃的なテニスが錦織選手の理想のテニスでもあり、最大の武器だと思います。2014年のATPツアーファイナルズでのラウンドロビン、2015年12月のマスターズ1000カナダでのナダル戦などは、その爆発力が光っていました。

 

まとめ

2014年に一気にブレイクし、世界のトップ選手の仲間入りを果たしました。2015年は苦しみながらもそのポジションを守る事ができ、真の意味で心技体ともにトップ選手へと成長しました。そして2016年、更なる飛躍を遂げBIG4の牙城を崩し、優勝争いに食い込むためには「爆発力」を磨いていく必要があります。

確かに、今のように手堅く勝つテニスは必要です。ただし、それではチェコのトーマシュ・ベルディヒ状態になってしまい、準決勝以上の戦いでは競り勝つことは出来ません。手堅いテニスで取りこぼすことなく、準決勝の舞台まで駆け上がり、BIG4対決を爆発力で制する。

 

そのギアの入れ方を身につけると、ゾーン状態の最強モードのワウリンカのように、夢の舞台でジョコビッチを倒すことができるでしょう。

そうやってベスト4常連になってくると、時として思わぬチャンスが舞い込んできます。マレーのように決勝の舞台で疲れきって本調子じゃない相手に出くわすこともあります。まずは、今より一つ上のステージであるベスト4の常連になって欲しいと思います。

nishikorikei20160404

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