フェデラー物語【第4章】「テニス人気が低いスイスとロジャーの高い才能」

Federer as a child

スイスではテニスは職業として成立しなかった…

名門テニスクラブ オールド・ボーイズ・クラブで才能の片鱗を見せていたロジャーでしたが、当時ほとんどの人が彼の今日の将来を想像することは到底できませんでした。

「将来有望な選手が現れても、せいぜい国内のランキング入りを目指すのが関の山。世界のランキングともなれば全くの別世界でした。勿論、ロジャーがクラブに入った時も、世界を目指した選手など一人もいなかった。だから、ロジャーの後の活躍を誰も想像できなかった」-

「スイスでは他国ほどスポーツは職業と見なされない。スイス人は手に職をつけて、安定した生活を望む。だから職業としてのプロスポーツには不向きだと思う」-ニキ・フォン・バリ(現クラブの会長)

■1980年代 テニスはマイナースポーツ

テニスは超マイナースポーツでした。当時はスキーの全盛期で、ピルミン・ツルブリッケン、マリア・ヴァリザー、フレニ・シュナイダーら3名のスター選手が大人気でした。

■1987年のデビスカップでワールドグループ入り、テニス人気の高まり

ヤコブ・ラセク/クラウディオ・メッツアードリ/ハインツ・ギュンタードらの活躍でスイスは初めてのデビスカップワールドグループへ参戦しました。そして同年、ラセクは男子シングルスで世界TOP10入りを果たし、スイスがテニスの世界へ仲間入りしたと言えます。

 

名コーチ セップリ・カコフスキーの出会い

当時、フェデラーは既にその才能を発揮しはじめていたものの、ストロークを改善しフットワークや全体の動きを教え、いつの日か世界を制するための武器を授けてくれる人物が必要でした。

その役割を果たした人物は、セップリ・カコフスキーでした。このカコフスキーはロジャーがクラブに入った8歳から14歳までの6年間、マンツーマンの指導を担当。当時のロジャー少年を知る関係者の中で、唯一最初からその類稀なるテニスの才能に気付いた人物でした。

「ロジャーが来てすぐ、彼は凄い才能を持っていると分かったよ。これまで40年以上もテニスのコーチの経験があるからね。2日後にはロジャーはラケットを持って生まれてきたことが分かった。スピード、フットワーク、パッション…全てがすば抜けていた」-カコフスキー(クラブのコーチ)

また、カコフスキーはロジャーのパーソナリティ面にも気づいていました。

「私は東欧出身だからスポーツに対しては非常に野心的だ。しかし、スイスはそういうのはあまり歓迎しない風潮があったから、指導はトーンダウンする必要があった。そんな中、ロジャーは生粋のスイス人ではないので、かなり野心的な少年だった。穏やかな部分は純粋なスイス人の父親譲り、一方でや野心的で意思が強い部分は南アフリカの母親譲りなんだと思う」-カコフスキー(クラブのコーチ)

カコフスキーは、マンツーマンでロジャーの指導にあたり、めきめき上達していきました。実は、このカコフスキーはシングルバックハンドの信奉者で、彼の影響でロジャーの今日の美しい片手バックがあるのです。

 

第5章へつづく

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