ジョコビッチの「強さの秘密」を心技体・戦略の観点から解説【総合編】

最強王者ノバク・ジョコビッチの【強さの秘密】に迫ります。

ジョコビッチが何故こんなにも強いのか?ジョコビッチは他の選手に比べてどこが凄いのか?

傍目にはなかなか分かりにくいでしょう。フェデラーやナダルに比べて、そのプレーには分かりやすい特徴や強みが見え難いからです。

ジョコビッチの圧倒的なツアー支配力の秘訣は「心・技・体」揃ったアスリートとしての完成度の高さと、それらを最大限に活かす緻密な「戦略」です。この記事を読めば、その強さの理由が理解できるでしょう。

 

データで見るジョコビッチの圧倒的強さ

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超ハイレベルな男子テニス界で2015年のツアー支配率は93%

2011年に一度目のキャリアハイを迎えてから、12、13、14年と好調な成績をキープしてきました。そして2015年からキャリアピークを迎え、ジョコビッチ一強時代を謳歌しています。15年はグランドスラムで3勝、マスターズ1000で6勝、ツアーファイナルズ4年連続優勝、年間ランキングは4度目の1位でした。そして、更に凄いのが、その他の出場して優勝できなかった大会は全て準優勝という圧倒的な成績です。ツアー支配率は驚愕の93%です。

2015年はフェデラーのキャリアハイと同等の成績

これがどれだけ凄いことなのか…。例えば、ロジャー・フェデラーのキャリアピークの2006年は、GS3勝、全仏のみ準優勝、マスターズ1000で4勝、準優勝2回、2R負け一回、ツアー支配率は95%でした。現在のATPツアーのトップ選手のレベルを考えると、この群雄割拠の中でのジョコビッチの圧倒的成績を考えると最大瞬間風速はジョコビッチの方が勝ってるとも言えます。(勿論、現時点では総合的にフェデラーの成績が上です。)

このように、史上最高と称されるフェデラーのキャリアハイイヤーと比べても、遜色無い成績を残しています。詳しい成績は下記の表を見て下さい。その凄さスタッツで分かります。

 

Tournament201120122013201420152016SRW–LWin %
グランドスラム(四大大会)
全豪オープンWWWQFWW6 / 1257–690%
全仏オープンSFFSFFF0 / 1148–1181%
全英オープンWSFFWW3 / 1152–887%
全米オープンWFFSFW2 / 1157–986%
Win–Loss25–124–324–322–327–17–011 / 45214–3486%
ATP ワールドツアーファイナルズ
ATP ファイナルズRRWWWW5 / 927–1073%
ATP ワールドツアーマスターズ1000
インディアンウェルズWSFSFWWW5 / 1147–689%
マイアミWW4RWW W5 / 1036–588%
モンカルロAFWSFW 2R2 / 928–780%
マドリッドWQF2RAA  W1 / 716–673%
ローマWFQFWW F4 / 934–587%
カナダWWSF3RF F3 / 930–683%
シンシナティFFQF3RF A0 / 1126–1170%
上海AWWSFW3 / 930–683%
パリQF2RWWW4 / 1126–681%
Win–Loss33–134–628–628–439–26–027 / 86273–5882%
キャリア通算データ
201120122013201420152016SRW–LWin %
Tournaments Played315171615164196
Titles106771136270%
Finals Reached11119815388
Hard Win–Loss46–550–553–540–659–522–148 / 127473–8984%
Clay Win–Loss17–116–415–314–216–10–011 / 48160–4180%
Grass Win–Loss7–09–36–17–07–00–03 / 1767–1582%
Carpet Win–LossDiscontinued0 / 48–280%
Overall Win–Loss470–675–1274–961–882–622–162 / 196708–14783%
勝率 (%)92%86%89%88%93%96%83%
年間最終ランキング11211$97,671,248

 

強さの秘密1. 【心】メンタル/精神力

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テニスはメンタルの強さが勝負を決める運動学的にも超過酷な球技

テニスは精神力の強さが問われるメンタルスポーツです。ゲームの中で瞬間的に判断し、行動に移す作業を時には5時間近く繰りかえす過酷なスポーツです。そんな中、現在のジョコビッチのメンタルの強さは世界一と言えます。どんなに調子が悪くても、長い試合になっても確実に競り勝ち、どんどんギアを上げていきます。この点は他のトッププロには無い強さでしょう。フェデラー、ナダル、マレーなどでも割とあっさり負けてしまうことがあります。

壮絶な生い立ちが圧倒的なプロ意識とハングリー精神を育んだ

ジョコビッチのメンタルの強さは、幼少の頃に母国セルビアで体験したコソボ紛争、その紛争の中戦地でプロになる事を目指して日々練習を重ねた事、経済が困窮した家族の未来の生活をプロで活躍するジョコビッチ託された責任感、国際舞台で活躍してセルビア人の汚名を返上しようと願うアイデンティティーなどにあげられます。10歳の頃より、職業としてテニスで食べていくことを決意し、それからはどれだけ最短でプロになれるかを常に考えて、サバイブして来たと本人も語っています。正に、ハングリー精神の賜物です。

 

また、2014年に妻エレーナ・リスティッチと結婚し、第一子ステファン君が生まれてからは精神面の安定感や充実感が増し、その強さに拍車がかかりました。

もっと詳しく>>「精神面からジョコビッチの「強さ」を徹底解説【メンタル編】」で詳しく解説しています。

 

強さの秘密2.【技】テクニック/技術力

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ただラリーを繋いでいるだけじゃない

2010年頃までは守備的なプレーが多く、ラリーを繋いで相手のミスを誘うプレーが主体でしたが、現在は多彩なテクニックでゲームを支配しています。フェデラーやナダルに比べて、プレースタイルが地味なジョコビッチは、一見すると何処が技術的に優れているのか分かりにくいです。しかし、派手さは無いものの、ジョコビッチのテクニックは他のトップ選手を凌駕しているから世界No.1に君臨しているのです。

針の穴を通すような、世界一のボールコントロール能力

ジョコビッチの最大の強みは卓越したボールコントロール力です。アグレッシブベースライナーなので後方からストローク主体でゲームを組み立てるので、常に相手に攻めこまれないようにベースラインやサイドラインの際々にボールをコントロールし続けます。この高度なパフォーマンスは4大大会の最大5セットマッチにも及ぶ決勝でも、衰えません。簡単なようですが、実際に他のトップ選手でもラリーの最中にミスショットで返球が甘くなり、ジョコビッチの水準でボールキープを続けることは不可能です。

 

その他には、スキーで鍛えたバネを活かしたコートカバーリング、セカンドサーブでありながら相手に攻め込ませない超キックサーブ、そして世界最高と称されるフォアハンドど同じクオリティの両手バックハンドなどの技術が優れています。左右同じ精度と強さでショットを打つ事ができ、サーブも強く正確で、実質プレーに穴がありません。

もっと詳しく>>「技術面からジョコビッチの「強さ」徹底解説【テクニック編】」で詳しく解説しています。

 

強さの秘密3. 【体】フィジカル/身体能力

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男子シングルスはスタミナと故障の少なさが命

年間を通じて、休む間もなくツアーで世界各地を転戦するテニスは、怪我で故障して離脱してしまうとあっと言う間にランキングが下がってしまいます。また、4大大会は最低3セット、最大5セットマッチのかなりの過酷な大会で、世界最高峰の選手相手に勝ち続けなければいけません。そんな中、ジョコビッチはかつて途中棄権が多い選手でしたが、グルテンフリーの食事生活により、体質改善に成功し現在はフィジカルも強い選手です。

決勝で勝ち切るスタミナと柔軟なボディバランス

そのジョコビッチの特筆すべき身体能力的な凄さは、持久力とボディバランスです。毎回、必ずと言って良い確率で決勝まで進出するジョコビッチのスタミナは、フェデラーやナダルと同じく世界最高峰です。日本の錦織圭はこの点はまだまだでしょう。そして、天性の柔軟な関節とスキーで鍛えたバランス感覚で、どんな不利な体勢からも身体の軸をぶらす事無く、安定したショットを打つ事ができます。その柔軟なボディーバランスは、一見無理して打って怪我しかねないようなショットでも、怪我を防いでいます。

もっと詳しく>>「身体面からジョコビッチの「強さ」を徹底解説【フィジカル編】」で詳しく解説しています。

 

強さの秘密4. ストラテジー/戦略

Boris Becker (l) trainiert seit Ende 2013 Novak Djokovic. Foto: Tatiana Zenkowich

勝つためには心技体に加えて戦略が重要

試合で勝つためには戦略が大切です。テニスは心技体に加えて、ゲームを攻略する戦略も非常に重要なスポーツです。メンタル、テクニック、フィジカルの強さがあってこそ、はじめて戦略が成立します。

攻守一体のカウンター主体だが、攻めも守りも自由自在

では、ジョコビッチの試合戦略はどのようなものでしょうか?ジョコビッチの基本的戦略はコートを広く使っての攻守一体のカウンター主体のテニスです。フォアハンド、バックハンド、ファーストサーブ、セカンドサーブに一切の技術弱点が無い事、際どいラリーをミスすることなく続けることが出来る強靭なスタミナと精神力。これらを武器に、この攻守一体のカウンター戦略は抜群の効果を上げています。

 

後方からでもゲームを組み立てコントロールできるので、自らリスクを追って仕掛けてミスショットを打たされることが少ないです。一方の相手は、どんなウィナー級のショットも抜群のカバーリング力で無力化され、その鉄壁の守備力にプレッシャーを感じ、ミスを連発します。また、チャンスとあれば、自ら強力なフォアやバックで攻めてポイントを取ることもできます。このように、戦略と心技体の全てが、完全にマッチしているからこそ、現在の最強ジョコビッチが生まれたのです。また、現ヘッドコーチのボリス・ベッカーの存在も大きいです。

 

まとめ

ジョコビッチは本当に強い、強過ぎます。2016年の成績次第で、後世のジョコビッチの評価が決まるのではないでしょうか?全豪オープンに続いて、ついに全仏オープンで初優勝し、悲願の生涯グランドスラムを達成しました。

そして、続く全英オープンを連覇、オリンピック金メダル、全米オープン連覇を成し遂げれば、名実共に史上最強の偉大なプレイヤーとしての称号が与えられるはずです。

そんなジョコビッチのオリンピックの成績は知っていますか?歴代のオリンピックのメダリストを「オリンピック「テニス」歴代優勝者の紹介 リオ五輪前に確認すべし!」で紹介しています。

 

 

【生涯GS達成!ジョコビッチの強さ解明シリーズ】

  1. 身体面からジョコビッチの「強さ」を徹底解説【フィジカル編】
  2. 精神面からジョコビッチの「強さ」を徹底解説【メンタル編】
  3. 技術面からジョコビッチの「強さ」を徹底開設【テクニック編】